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以前インドへ旅行したとき、土産物に沈香を勧められました。インドでは一部の地域でしか産出しないため、これは珍しいと思って現物を見せてもらうと間違いなくインドネシア産の沈香です。しかも価格は日本の小売価格より数倍高価。インドのアッサム地方で産出するものとは全く異なります。折角買って帰ってもインドネシア産ではがっかりですね。土産物にはご注意下さい。
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ベトナムでも同様で一般の土産物店で売られているものの中に時々偽物が交じっています。高級な沈香の外観そっくりに彩色し、素人が見ても見分けがつきませんので、実際にその場で削って焚いて見る必要があります。偽物は削ると下地が出てすぐに判別出来るのです。しかし、我々のように職業にしている者でも稀に失敗します。信用のおける業者でも分からずに扱っている場合があるのです。
ですから、私共では買い付けの時、必ず比較できる標準品を持参して、その場で焚き比べるようにしています。
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数年前、ある方から沈香の高級品を購入しようと思うので、預かった品を鑑定して欲しいと依頼を受けました。期待を胸に伺うと、立派な桐の箱から上等な布に包まれた沈香(?)を取り出されたのです。残念ながら真っ赤な偽物、数百万円と聞きましたが桐の箱の方が高価なくらいです。『買わない方が良いですね。』と申し上げて帰りましたが、持ち込んだ人も偽物とは知らないのです。何処でどう間違ったのか、このような話が最近目立ちます。
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沈香の名称はその品質を見分ける方法に由来します。比重の大きいものが上品なので水に沈めて区別したのです。従って、水に沈む香木、即ち沈水香木(じんすいこうぼく)、それを略して沈香と呼んでいます。
まず、ずっしりと重いかどうかを見極めます。次に色合いですが、産地によって異なりますので一概には申せません。相対的に黒めなものが良いでしょう。
小片を口に入れて噛み砕き、口から鼻へ芳香が抜けるかどうかも判別の方法です。伽羅などは苦みが鼻へ突き抜ける感じがします。
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